ライアン・デイリーは、Modded Hardwareの運営者として、改造されたNintendo Switchの販売を巡る任天堂からの厳しい訴訟を受け、和解に至った。シアトル地方裁判所はデイリーに対し、200万ドルの支払いを命じ、あらゆる形態のモディングや海賊版に関わる活動への生涯禁止を課した。
デイリーのModded Hardwareのウェブサイトでは、ホームブリューアプリケーションや海賊版Switchゲームをインストール可能な改造Switch本体が販売されていた。任天堂は、このビジネスが海賊版ゲームがプリロードされた改造本体を返却することもあったと主張し、同社の知的財産権および海賊行為や不正ソフト使用を防止するコンソールに組み込まれた技術保護手段(TPM)を侵害したとしている。
この法的紛争は2024年3月に始まり、任天堂はデイリーに活動停止を求めたが、デイリーがこれに応じず継続したため、ワシントン州シアトルで2024年6月に正式な訴訟が提起された。デイリーは弁護士を立てずに訴訟に対応し、すべての告発を否認。フェアユースや任天堂の非倫理的行為を主張するなどの弁護を試みたが、これらの法的主張は最終的に認められなかった。
和解条件には、200万ドルの支払いに加え、ウェブサイトのドメイン権放棄やモディング関連技術の全ての放棄が含まれる。また、和解内容は無期限に及び、デイリーが任天堂のデジタル権利保護措置を回避または支援することを禁止している。
本件は任天堂が海賊版や不正改造に対して継続的に強硬な姿勢を示す一環であり、同社は過去にも別のROM配布サイトに関連するゲイリー・バウザーに対し1,000万ドルの判決を獲得しており、世界的に著作権保護とプラットフォーム保護に注力している。
業界関係者は、任天堂の厳格な姿勢は、特にコンソールゲーム分野におけるデジタルセキュリティの重要性が高まる中、そのビジネスモデルを脅かす海賊版行為に対する長期的な不寛容の表れだと指摘している。モディングコミュニティはホームブリュー開発やハードウェアの改造を推進する側面もあり、この分野は革新権と著作権侵害防止のバランスにおいて法的に複雑である。
今回の訴訟解決により、任天堂は改造機器の不正商用化による知的財産の海賊版リスクに対して厳しい法的制裁を科すという抑止姿勢を改めて強調し、明確な警告を発している。



